3−1 Camptocladius グループ                                        Orthocladiinae へ戻る

後擬脚、肛門鰓、尾剛毛の全て、又は一部を欠くなど尾端部に特徴を有するグループ。

Bryophaenocladius  Smittia    Georthocladius   Gymnometriocnemus  Camptocladius
Pseudosmittia    
Antillocladius

  下唇板 触角 ST、SU 後擬脚 肛門鰓 尾剛毛
Bryophaenocladius 中央歯は広く、側歯は
3〜4対
5節、第2節は基節
より長い。
ST、Uともに短い
刺状。2叉の種も
ある
第12体節の下部に
あり、小さい。
鈎爪は小さい、
欠くこともある
第12体節の下
部に2対、小さい
欠く
Smittia 中央歯は広く、山形。
側歯は5対
4節、第2節は基節
より長い。
STは櫛の歯状
SUは針状
わずかに分岐、鈎爪
はある
短い2対 欠く
Georthocladius 中央歯は広く、側歯は
4〜5対
5節、大顎の2/3 STはやや広く、縁
は細かい鋸歯。
SUは太く長い針状
存在しても小さい。
欠く種もある
2対、長く、くびれ
欠くものがあるが、
短い2本の尾剛毛
をもつものもある
Gymnometriocnemus 中央歯は大きな2歯、
側歯は4対
5節、第2節は基節
よりかなり長い
ST、Uともに短い
針状
第12体節の下部に
あり、小さい。
鈎爪は小さい、欠く
こともある
第12体節の下
部に2対、小さい
台はない
尾剛毛は短い1〜2本
Camptocladius 中央歯は広く、側歯は
4対
3節、大顎の1/6
〜1/8
STは広い、2岐
SUは2岐
欠く 2対、小さい 欠く
Pseudosmittia 中央歯は広く、側歯は
4〜5対
4節、大顎の1/6
〜1/8
STは2岐
SUは2岐
第12体節の下部に
あり、小さい。
第12体節の下
部に2対、小さい
台は無い
尾剛毛は短い1本
Antillocladius (?) 広い中央歯は真中
で少し凹。側歯は4対
4節?、大顎の1/5 STは掌状、SUは
針状とされるが、
手元のサンプルで
はともに2岐
大きく発達し、長い
鈎爪をもつ
第12体節の下
部に2対、小さい
尾剛毛台はないが、
短い2本の尾剛毛が
ある


Bryophaenocladius

国内から3種の幼虫を得ているが、下の写真は琵琶湖の水深63mの湖底から採取したものである。体長5mm前後、黄褐色のまだら模様。眼点は1対。
他の2種は余野川(大阪府)と宇蓮川(愛知県)から採取している。

中央歯は広いが、その形態は種により異なる。
側歯は4歯、3歯の種もある。
触角は5節。第2節は基節より長い。第3〜5節は短い。基節のring organ は大きい。 後擬脚は短く、わずかに2岐、鈎爪は小さい褐色の
10数本。肛門鰓は後擬脚の後方に2対。
・体長は4〜4.5mm、体節は黄褐色のまだら
 模様。眼点は1対。
・大顎の側歯は3本
・STは短い刺状、SUな太い刺状。
 ST、Uともに2叉の種もある。
・上咽頭櫛歯は3葉(2葉もある?)
・前大顎は3歯
・後擬脚の鈎爪を欠く種もある。

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Smittia

本種は支笏湖畔の水深50cmほどの砂礫底より採取したものである。体長4mm前後の幼虫で、淡緑色。眼点は1対。

中央歯は大きく、山形。側歯は5対、外側の2歯は小さい  4節。第2節は基節より長い。
 第3,4節はごく短い。
 付属枝は触角の先端とほぼ
 等長。Lb器官は小さい。
後擬脚はわずかに分岐。肛門鰓は短い。尾剛毛はない。
1:触角
2:下唇板
3:大顎。側歯は3、指状突起は
  短い。
4:上唇部:STは長い5本の櫛
  の歯状。SUは長い針状。
  上咽頭櫛歯は長い3葉。
  前大顎は先端で2裂
5:小顎
6:尾端部:肛門鰓は半球状の
  2対。後擬脚は退化して肛門
  鰓の基部に位置し基部は融
  合している。
  鈎爪は小さい淡褐色の10
  数本。
 

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Georthocladius

国内では皆瀬川(雄物川水系)で採取したのみ。5〜6mm。淡緑色。体節に剛毛はない。

この写真では5対の側歯をもつが、文献によ
れば4対の種もある。大顎の側歯は3本.
5節、触角比は1.2。第2節の指状突起はやや大きい。
付属枝は触角の先端をはるかに超える。
尾剛毛台は広い1対の扇型の突起で2対の
小剛毛がみられる。
・STは太い針状
・SUは細い針状
・上咽頭櫛歯は長い3葉
・前大顎は2裂
・肛門鰓は長くくびれる、2対
・尾剛毛は細い1本
・後擬脚はない

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Gymnometriocnemus

本種は小八賀川(岐阜県)の渓流で採取したもの。早瀬の石面に生息。5mm前後、。手元にあるのは国内ではこのT種のみ。

中央歯は大きな2歯。側歯は4対、順に小さい。
副下唇板は側歯に添う、三日月状。
尾剛毛台はなく、尾剛毛は短い1本。後擬脚と肛門鰓は体軸
に対して直角に下方に位置する。
後擬脚は短くわずかに2分岐、鈎爪は無い。
肛門鰓は2対,卵形。
5節。第2節は基節より長い、第4節は
第3節より長い。
付属枝は触角の先端とほぼ等長。
  ・前擬脚は先端でわずかに2裂、
 1列10数本の非常に細かい(6μ)
 刺の列が20数列並ぶ。
・大顎の側歯は3歯。指状突起、大顎の
 房毛はない。
・STはやや広い、SUは細い針状。
・前大顎は3裂。

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Camptocladius

Camptocladius は陸棲のものが多いとされるが、国内では淡水性の幼虫を3種採取している。1種は天竜川の支流の清冽な水域の平瀬の砂礫底から(下図)、ほかに霧島御池の砂礫底、およびオンネトー(北海道)の湖岸から得た。後の2種の生息する場所はいずれもpH5.2〜5.8の酸性度の高い水域であった。これら3種は形態的に、特に下唇板に差異が認められる。2.5〜3mmの小型の幼虫。

下唇板の中央歯は広く、形態は様々。側歯は4対。
副下唇板は明瞭。
触角は3節。基節はやや大きいが、第2,3節はごく短い。付属枝は触角全体の3倍以上。 後擬脚、尾剛毛台はない。
肛門鰓は2対、第12体節の下部に位置する。
 
大顎の側歯は3本 ST、SUともに2叉。上咽頭櫛歯は3葉。
前大顎は3歯。

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Pseudosmittia

国内では数種の幼虫が採取されている。3〜5mm。淡緑褐色〜黄緑色。国内各地に分布しているが、形態的に下唇板、触角に明瞭な差異が認められる。

中央歯は図のようにさほど広くないものでは中央がわずかに突出するが、下唇板の1/3を占めるものでは突出はない。側歯は4〜5対。 触角は4節。大顎の1/6〜1/8.付属枝が
触角全体と等長の種(下図)と上の写真のよ
うに触角の3〜4倍の長さの2タイプがある。
肛門鰓は低い円錐形の2対。後擬脚は小さい。鈎爪は小さく黄色の10本。
尾剛毛台はなく、尾剛毛は1本。
・触角の付属枝は 触角の先端を越えるが、
 比較的短い(左図)ものと非常に長い(上
 写真)ものとがある。
・大顎の側歯は2〜4本。
・ST、SUともに2叉。上咽頭櫛歯は3葉。
 前大顎は2〜3裂。
・後擬脚は短く、鈎爪は小さい。

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Antillocladius (?)

国内では2種の幼虫を得ている。触角や,ST、SUはPseudosmitiaと同じ形態であるが、後擬脚は明らかにAntillocladiusの特徴を有する。
体長3〜4mmの小型の幼虫。淡灰緑色〜淡緑褐色。眼点は1対。清冽な平瀬、早瀬の砂礫底に生息。最上川の支流赤川、球磨川の支流川辺川・五木にて採取。

後擬脚はよく発達し、鈎爪は長い、
10数本。尾剛毛台はなく、尾剛毛は
短い2本。
  中央歯は広く中央でわずかに凹。側歯は4対。 触角は大顎の1/5、5節。基節の径は
高さより大きい。
付属枝は触角の先端を超える。
・触角の第5節はごく小さい
・大顎の側歯は4本、第4側歯は基部と
 重なる。大顎内毛は短い。指状突起は
 ない(?)
・ST、SUともに2叉であるが、文献に
 よれば STは掌状、SUは針状とある。
 上咽頭櫛歯 は3葉。
・前大顎は先端で大きく2裂
・後擬脚は普通に発達、鈎爪は細長い
 13本
・尾剛毛台ないが、尾剛毛は短い2本。
・肛門鰓は第12体節の下部に小さい
 2対が存在するように見える。

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